大体のことは咲に伝えた。
恵実が襲われたこと、旅館のこと、場所、あの女の人、私が置かれている状況を正直に伝えた。
咲なら少しでも信じてくれることを祈った。
だが、話し終わってから咲は少し考えている様子だった。


「ん〜......ねぇ風華。実名を出すのはやめようね?」


「は?」


え?どういうこと?
頭がこんがらがった。
もしかしてあの女の人と繋がってるの?
少し焦っている私に咲はこんな事を言う。


「新しい怪談話だろ?「首無しトンネル」を舞台にするのはいいんだけど、恵実が襲われるってところは流石に変えるよね?...あっ!これ私に対するドッキリか!!いや...気づいちゃって本当にごめん!!こういうのすぐ気づいちゃうからさ...でも結構分かりやすいからもう少し捻った方がいいよ。」


そういうことか...
少し安堵するが寂しくもある。
やっぱり信じないよね...
私が咲の方になってても同じリアクションだろうけど、こっち側だと分かってても少し傷つくなぁ...
情報は渡せたから一旦切ろうかと思ったがこの調子だと寝たら忘れそうだ。


「あのね?咲。これはドッキリとかじゃなくて本当なの。嘘って思うかもしれないけど...」