一睡も出来ないまま登校し、朝の空き時間にウチのクラスまで遊びに来た真田に盛大に笑われた。

どうしたのその目、と問われ、なけなしの女子力である手鏡をポーチから取り出して確認すると、どこの吸血鬼かと思うほど目が充血していた。


「どこの吸血鬼かと思ったわ」

「あ、それ真田も思ったんだ」

「真田もってことは、あんたも今自分で思ったわけね」


呆れたように息を吐いた真田は、空席だった私の前の席に腰を下ろす。

その様子を横目に、私は深い溜め息を吐いた。


「朝から辛気臭いわねぇ。どうしたの?」

「どうしたって……」


どうしたもこうしたもない。色んなことがあった。

瞼を閉じると康介の姿が浮かんで、眠れなかった。なんて、言えるものなら言ってしまいたいけど、真田と康介に接点がある以上、彼女に相談なんて出来ない。


「別に、なんでもないよ。ただ……昨日読み始めた本が面白くて、徹夜しちゃったってだけ」

「なるほどねーってバカ、何してんの」