サトタツの結婚報道は事実だった。


様々な憶測が飛び交った2日間の休みが明けた、最初の授業。

1時間目の始まりを報せるチャイムが鳴ったタイミングでいつものように姿を見せた彼は、教室に立ち入るなり男子からのド直球の質問を受け、それを認めたのだ。


「ったく……お前ら、どっから聞きつけたんだよ」


首に手をやり、困った様子で息を吐くサトタツだけど、どこかすっきりとした表情のように見える。


「相手誰? うちの学校の人?」

「入籍いつなのー?」

「お前らどうせ騒ぐから教えねぇ」


囃し立てるクラスメートの声を聞きながら、私の頭は真田のことでいっぱいだった。

授業が始まる直前、ホームルームを終えて職員室に戻ろうとした先生を捕まえ、体調不良を訴えた彼女が保健室から戻ってくる気配は一向にない。


2日前、教室に戻ってきてからの真田にいつもの覇気は見られず、当たり障りのない言葉を投げかけた私にも乾いたような笑みを浮かべるばかりだった。