今日の月明かりはやけに明るい。


あたしにつきまとう真っ黒な影が、大きく斜めに伸びて、どこまでもどこまでもついてくる。


気を抜いたら、自分の影に飲み込まれてしまいそうだ。


四方八方から感じる視線を真っ黒なローブで受け止めながら、あたしはさらに深くフードを被り顔を隠した。


人気のない閑散としたここのビル通りは、深夜になると不良のたまり場となるらしい。


特に裏路地は、決して女が足を踏み入れてはならない場所。


それほどここは一般市民にとって、危険地帯だ。


いつ襲われてもおかしくない。