友達はいない。
あたし自身誰か分からない。
淋湖はいなくなったし、しおちゃんも、いない。

あーあ、あたしには、何か残っているものなんて、あるの?

「泉。」

「え?」

「あ、やっぱあんた佐藤泉でしょ!」

あたしの事を知っているの?
バッと後ろへ振り向いた。

「山奥君?」

「やぁ、久しぶり。」

初めてだった。
あたしの事を『佐藤泉』って、呼んでくれる人。
パパとママしか呼んでくれないのに!