『ねぇ、お兄ちゃんって呼んでいい?』


『いいよ。じゃあ俺は愛美って呼ぼうかな』



そう言って、お兄ちゃんが視線を向けてきた瞬間、胸がドキッとした。



家族になった時はお互いにぎこちない距離があったけど、

次第にお兄ちゃんは私に優しくしてくれるようになった。



親の部屋は1階にあって、私とお兄ちゃんの部屋は2階。隣同士。


アルバイトで夜遅く帰っても、お兄ちゃんに会えば疲れが吹っ飛んだ。


お母さんに成績のことで怒られてからは、私の勉強を見てくれた。


寝る前にお兄ちゃんの部屋に寄る頻度が増えた。


家でずっと私のことを守ってくれた。


お兄ちゃんと一緒にいる時間を増やしたくて、アルバイトをバックレた。



その髪型いいね、と言われて以来、ずっと私の髪型はポニーテールだ。