その時から、昔の夢を見るようになった。



『ねぇ、お母さんどこいくの?』


『ちょっと、旅行にね』


『僕も連れていってよ』



両親は、黙っていた。



『いいか、愛与。
父さん達は少し遠くにいく。
その間、一人でお留守番できるな』


『一人は嫌だ、僕も連れていって』



どれだけ、言っても、その願いが叶うことはなかった。



『じゃあ、行ってくる』

『愛与、行って来るわね』



『嫌だ、行かないで、行かないでよ』





いつもここで、目が覚める。


目が覚めると、身体中に汗をかいて、息苦しくなる。




俺が、10歳の時。

両親は旅行に行くと言い出ていき、
戻ってくることは無かった。

両親は行方不明になり、
祖父母に引き取られることになった。


多分、俺は、両親に捨てられたのだと思う。

嫌いになって、うざくなったんだと思う。



最近――、

この夢をよく見る。