それから、約一ヶ月後


命は、ホストを辞め、瑠佳君と共に俺達の家に越してきた。


命はウエイターとして働き、
瑠佳君は、小学校から家までの距離が少し近くなったと言っていた。





 ある日の朝



「瑠佳、朝御飯出来てるぞ」


「はーい」


春毘は、大きな声で瑠佳を呼び、
まだ、自分の部屋に居るだろう瑠佳の声が聞こえた。

朝から賑やかになってきた。


「愛与、おはよう」


「春毘、おはよう」


朝のキスと挨拶を済ませて、自分の席につく。


目の前には、ワンプレートで用意された
フレンチトーストがある。

付け合わせのサラダにトマト、グレープフルーツと苺。

後は、好みでコーヒー、瑠佳はホットミルクが添えられていた。



「わぁ、美味しそう!
流石、春毘君凄いね」



瑠佳がかけてきた。

人見知りだったけど、春毘には直ぐになついた。
俺にも、ゆっくり慣れていき、今では、ヤンチャだ。


「瑠佳、先に食べてろ。
学校遅刻するぞ」


微笑みながら、頭を撫でた。


「うん」





ホント、春毘は、瑠佳にはとびっきり甘い。



昨日は、瑠佳の苦手なピーマンが入っていたとき。



「一口は食べろ」



瑠佳は、ピーマンを口に運び食べて、飲み込んだ。



「うぇ」


「フフッ、頑張ったな、後は、良いから。
デザートの苺、食べても良いぞ。

苦手なものはゆっくり食べられるようになれば良い。

でも、一口も口につけないのは駄目だ、言いな」


「うん、分かった」



そんな姿が何でか、とてつもなく幸せだった。

春毘は、いいお父さんになれちゃうなぁーなんて思ったりもした。





それで、瑠佳のリアルお父さんにはと言うと――。



「はあぁ、おはよう」


「お父さん、おはよう」



命は、朝起きると必ず瑠佳の頭を撫でる。


そして、朝御飯に目を向けると――。



「うっわ、トマト、入ってんじゃん」


「だったら、食うな」


「食べないとは言ってないだろ。
瑠佳、トマトやる」



その言葉を聞いて、瑠佳は――。



「だめだよ、好き嫌いしたら」


「瑠佳だって、ピーマン食べれないだろ」


「少しは食べれるもん。
それに、トマト食べたあげたら、お父さんの為にならないって、春毘君、言ってたよ」



命の顔は引きっていた。



「余計なことを」


「ほら、頑張れよ、お父さん」



春毘は、命の肩をぽんっと叩いた。



「朝から喧嘩売ってんのか」


「さぁな」



そう言うと、春毘も席について、頂きますと言ってから、朝御飯を食べ始めた。



「まったく、憎たらしい」


「まぁ、まぁ、命。
座って、ご飯食べよう」



朝はいつもこんな感じです。