永遠のように長い1日が終わり、やっと放課後になっていた。


あたしはホッと安堵のため息を吐き出してすぐ帰る準備を始めた。


ちゃんと自分の体の無事を確認しておくつもりだった。


きっとあたしの体は病院にあるはずだ。



この変なら総合病院が一番有力だった。


学校の友達だと伝えれば、きっと両親も会わせてくれるだろう。


「奏、行くよぉ?」


そんな声が聞こえてきてあたしは顔を上げた。


穂月とユメノが教室の戸の前で待っているのが見えた。


「え……?」


「今日はカラオケ行くって約束してたじゃん」


ユメノの言葉にあたしは戸惑う。


カラオケ?


そもそも中学生だけでカラオケ店には入れないはずだ。


「え……でも……」


「なに? 予定でもあんの?」


穂月がそう聞いてくる。


たったそれだけの言葉の中にも言いようのない威圧感を含んでいる


人に拒否させない言葉も重さがあった。


「え……いや、ないけど……」


「じゃぁ、決まり。行くよ」


教室を出る2人の後を、あたしはため息交じりに追いかけたのだった。