放課後の、オレンジ色の教室。
やわく、赤みの差さった頬。
逸らされていた瞳の中で弾けた、少しの勇気といっぱいの緊張。
深く息を吸い込むために開けられた唇が、告げた言葉。


『俺の彼女になってくれませんか』


全部覚えてる。
思い出すたび胸が、ぎゅってなる。

この人の彼女になれたら、きっとすごく、すごく、しあわせなんだろうなー……って。
繰り返し何度も、想像した。


でも――彼女になんて、到底なれそうにない。