私は今からちょうど3年前、補聴器をつけて生活し始めた。 それは難聴から解放される明るい道などではなく、耳鳴りと雑音の毎日のスタートだった。 少しずつ奪われてゆく聴力。 その中で私はたくさんのことを諦めなければならなかった。 愛する人の声を聞くことすらも。 大切な音たちを忘れることがないよう、何度も脳内再生してから、心の宝箱の中にそっと閉じ込めたのだ。