「奏ちゃん、おはよう」

「あ……おはよう、次咲くん」



土手沿いを歩いていると、後ろから次咲くんに声を掛けられた。



良かった……いつも通りの次咲くんだ。

まだ話てる途中に関わらず帰ってしまったから……また気まずくならないか心配だったんだ。



「ごめんね、昨日は勝手に帰ったりして」

「あぁ……うん。僕は大丈夫だよ」

「何か言いかけてたけど……何だったの?」



隣を歩く次咲くんの横顔を見上げた。



「いや……何もないよ。忘れてくれていいよ」

「そう?ならいいけど……」



何だったのかモヤモヤは残るけれど……

最後まで話しを聞かなかったのは私のせいだし。



次咲くんも話す気はなさそうだ。

これ以上の追求はやめた方がいいか。



それならばと明るい話題に変えようと、昨夜見たテレビの内容を思い返していると……

「よぉ」

また、どこからともなくアーラが現れた。



「うわぁぁあっ!」



いきなり声を掛けられたことに驚き、次咲くんが叫び声を上げながら肩をびくりと揺らした。