あぁ、やっぱりクラスメート達の視線が痛い。

隣には校内の王子様、黒羽くんが立っているんだからそうなるよね。



私と彼が付き合っている、なんて噂もよく耳にしていたけど……

アーラに手を握られ教室に入った瞬間、それは単なる噂ではなくなってしまった。



「……ぜんっぜん釣り合ってないし」



教室内がざわつき始めた頃、麻里子ちゃんが一際大きな声を上げた。

アレは……私に対する嫌味で間違いないだろうなぁ。



クラスメート達も麻里子ちゃんの発言にクスクス笑ったり。

巻き込まれたくないのか露骨に目を反らしたりしている。



聞こえなかったのか……アーラは平然と座ってるし。

私も聞こえなかったふりをしよう。



敢えてアーラの隣には座らず、出入り口から最も近い席に腰を下ろした。



はぁ。

やっぱり麻里子ちゃんにめちゃくちゃ睨まれてるんだけど。



翼くんと仲良くするなってか?



突き刺さる視線に耐え兼ね、机に顔を伏せた時だった。



「麻里子ちゃんさ、そんな言い方はないんじゃない?」



紗千の一言で、教室内が静まり返った。