雀の鳴く声がして目が覚める。
目の前にある白い天井も、散らかったデスクの上も。いつもと変わらない景色だった。
今日は……卒業式だよね。
「夏仍、いつまで寝てるの!遅刻するよ!もう五十分じゃない!」
だんだん声が大きくなっている声は、明らかに階段を上ってきていることを告げていた。
私は慌ててベッドから降りて、「分かってるよ!」と大きな声を出した。
───ん? 五十、分?
目覚まし時計を見ると、七時四十九分を指す黒い針。
昨日の待ち合わせは八時で、確か校門の前だった気がする。
「や、やばい!遅れる遅れる!」
パジャマを脱ぎ捨て、カーテンを開け、カッターシャツを着て、鞄の口を閉める。