その日、私はどのくらいそこにいたのかわからないくらいいた。





先生の教室にカバンを取りに行った頃には、そこには誰もいなくて私のカバンと、置き手紙があった。







『気をつけて帰れよ』










たったそれだけ。









そんなの、わかってるっつの。






私はその手紙を持ってると苦しくなりそうだったから置いていった。








その日の夜、家に帰るとお母さんが夜ご飯を作っていた。





「おかえり」





お母さんはいつもと変わらない笑顔でそう言った。






「......ただいま。お母さん、料理手伝うよ」








私はカバンを置き、手を洗った。






「ありがとう、じゃあそこの野菜切って」





「うん」








私はトントンと野菜を切っていく。