友達と昼食を終えたお昼過ぎ。私は大学の敷地内を樹と一緒にぶらぶらと歩いていた。

「元気にしてた?」

聞きたいことが沢山あるのに、こんな平凡な質問しかできない私は馬鹿なのだろうか。
急にいなくなってしまったこと、どうしてこの大学にいるのかということ、それから、今までどこで何をしていたかということ。

他にもいっぱい、いっぱい聞きたいことがあった。

そんなブランクの二年間を埋めないといけないのに、何故か言葉が出てこない。

「昼から授業ないよな。映画でも見に行く?」
「ん、そうだね」

結局はそうやって樹のペースにのせられてしまう。私の馬鹿。昔と全然変わってないじゃない。

でも、映画、映画かぁ……観たいのがあったんだよなぁ。好きな漫画の実写番で……好きな女優さん主演の……

「行く。ポップコーンもろとも樹の奢りなら行く!」
「な、何だよそれ……まぁ誘ったの俺だしな、良いよ」

樹は私の頭をくしゃくしゃと撫でると、「変わってないなぁ」と微笑んだ。

私の変化のなさは、どうやら樹公認と言うことらしい。