ケータイ小説 野いちご

好きなんだけど!

02_好きになる以外

健吾くんとの出会いは、居酒屋。

2年生のとき、私はちょっとやさぐれていて、自分に許される範囲で素行不良な子になってみようと試みたのだ。

ネットで繋がった女の子たちと飲みに行く、という当時思いつくことのできた中では最大の悪行をし、結果から言えば挫折した。


私を含め4人で、全員高校生だったんだけど、居酒屋に入るということで大学生を装って、会話もそれに合わせてなりきるといううすら寒いことをしていた。

もとが"学校に居場所ない子絡んでください"的な繋がりだったので、テレビとか漫画とか音楽なんかの話で十分盛り上がれたのだ。


するとお座敷の隣の席で飲んでいた、本物の大学生の男の人たちに目をつけられた。

私以外の子は、かわいくてきらきらした女子力満載の恰好をしていたため、先にそっちがターゲットになり、あぶれたひとりがやむなくという感じで私にまとわりつきはじめる。



『この後どっか行こうよ』

『や、帰ります』

『えー、そんなのつまんなくない? 俺けっこう楽しませるよ?』



うざいし、怖いよう。

やっぱりこんなことするんじゃなかった。

女の子たちとのおしゃべりは楽しかったけど、お酒はまずいしお金は出ていくし、社会勉強と割り切るにも高くつきすぎだ。

年齢を詐称している手前、店員さんに苦情として伝えることもできず、私たちのささやかな集いの場は大学生の蹂躙を許していた。



『ほかの子たち、もう酔っ払っちゃってるしさ、消えちゃお』

『いや、みんなで帰りますよ』

『なに言ってんの、見てみなよ』



見てみたら、ほんとにみんなベロンベロンだった。

というか、喜んでそうなっているように見えた。

めいめい気に入る相手を見つけ、しなだれかかっている。

おい!



『ほら、俺たちもいいとこ行こう』

『おうち帰ります…』

『初回限定で、俺おごるよ?』



なんの話ですか。

これもう、ついてっちゃったほうがいろいろ楽なのかなと半泣きになりながら負けそうになったとき、急に知らない声がした。



『"いく"、お待たせ』

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