【大地side】



修学旅行の班決めの最中、さっきまでふつうに自席の椅子に座っていた美月が、突然、バタッと音を立てて机に突っ伏した。



「……おいっ、美月!?」



まさか、気絶したとか?


心臓が止まりそうになるほど驚く俺。



「え?えっ!?美月ちゃんどしちゃったの!?」



タケルも、要も、それから菜乃花たちも、そこにいたみんながこの一瞬の間で何が起きたのかわからずにあわてふためいていた、そのとき。



「……スー、……スー」



美月から聞こえてきたのは、規則正しい寝息。



「は?もしかして、寝たのか?」



俺は美月の顔を覗き込む。


長い睫毛を伏せ、透き通るような白い肌に、桜色の頬。


おい、マジかよ。


マジで寝てるし。


しかも、こんな可愛い寝顔して。



「美月ちゃん、大丈夫か?一瞬で寝ちゃうなんて、相当寝不足だったのかな」



タケルが美月の顔を覗き込もうとした、そのとき。



「先生、俺、保健室に美月を連れていってきます」



タケルにも、他のヤツにも、この可愛い寝顔を見せたくなくて、俺は先生の有無を聞くよりも先に美月の片腕を首にかけ、抱き上げた。