とにかく清良君のお父さんにお願いされたことを聞いてみようか。


『跡取り息子』?

しかも『大蔵商事』という日本を代表する大きな会社の?


しびれてしまった足を静かに伸ばし、気持ちを整えながら足の痺れが引くのを待った。


自室の部屋の扉を開けリビングを覗くとそこには、リビングのソファーで薄手のブランケットを頭から被ってころりと横たわるスウェット姿の清良君の姿があった。

私の姿を見るなり体を起こして、「誰から電話だったの?」と伺うように尋ねてきた。



「さて、誰でしょう?」



「……もしかして、佐藤先生とか?」



「まさか。あんなことがあった昨日の今日で電話してこないでしょ」



「だったら良かった」



清良君は表情をふにゃりと緩めると、「じゃあだれだろう」と言いながらソファーの上であぐらをかくと、体を左右にゆらゆらと揺らしながら天井を見上げた。



「……お父さんだよ」