窓の外を見ると花びらのような大きな雪がもさもさと降り積もっていた。

窓から見える赤や黄色の鮮やかな滑り台やブランコはどんどん真っ白になっていく。



「ねえ、彩音(あやね)先生、外で遊んでもいい?」



美晴(みはる)ちゃんが大きな目をさらに大きくして、きらきらとした瞳で、私を見上げた。

私は美晴ちゃんの目線までしゃがんで、「手袋と帽子持って来てる?」と聞くと、美晴ちゃんは、バツの悪そうな顔をして、唇を尖らせて視線を逸らした。



「風邪ひいちゃうからね、また今度」



美晴ちゃんの頭を優しく撫でると、美晴ちゃんはその手をパンと払いのけて、「彩音先生のケチ!」と、目にいっぱい涙を溜めて大きな声で叫んで隣の図書室に走って行ってしまった。



「大丈夫よ、いつものでしょ?しばらくしたら落ち着くわよ」



美晴ちゃんの様子が気になり、図書室をちらちらと覗いていた私に話しかけたのは、児童館の先輩職員の甲本(こうもと)さんだ。



「そうなんですけど……最近怒り方がひどくなってきたような気がして。もう三年生になるし、そろそろ自分にブレーキかけられるようになってもいいかと思うのですが……」



「人それぞれだし、いずれ落ち着くわよ」