さおりの部屋を飛び出して、アパートの前でタクシーを拾った。


「とりあえず埼玉の秩父まで行ってください!」


「秩父…ですか?」


「いいから急いで‼︎」


運転手は戸惑ってるようだったが、急いで車を走らせた。


早く行かなきゃアズマが…


出るわけないとわかっていながらも、アズマに電話をかける。


そうしてないと落ち着かない。


『おかけになった電話番号は現在使われておりません…』


「くそっ」


スマホを膝の上に叩きつける。


運転手はミラー越しに不審そうに見ていた。


電話が繋がらなくなったのっていつだっけ?


俺が赤月警察署で渡辺と話をしたあとにはもう繋がらなかった。


けっこう時間が経ってしまった。