それから、しばらくして女性向けキャリアアップ講習会の資料が出来上がって来た。

今行われている、全部の講習会の内容を、大幅に変更すると発表するのは、的確ではない。
今はその時期ではないと、課長は会社の偉いさんとで決めたらしい。

吉沢さんは、彼らの方針にのっとって、粛々と作業を進めている。

毎年、うちの会社では、新入社員研修が落ち着いた頃から、少しずつそれ以外の社員の教育を行っている。

キャリアアップ講習は、20代から30代の女性を中心に、女性が職場で活躍していくための課題と対応策、リーダーとしての自信をつけてもらうための講習会だから、ワークライフバランスを考えるとか、家族と仕事の両立というテーマが中心だ。

内容が固定してるから、まとめやすいってことで会社全体から、該当する人を集めて開くこと人になった。



恵麻ちゃんが、去年の資料を吉沢さんに送って、改善すべき点があるのか検討しようということになっていた。この話をしてから、恵麻ちゃんは生き生きしだした。

『与えられた資料を元に、教育コースマップを作成し、講習会の内容を考えてみました』
コースマップというのは、教育の全体像と内容を示したもので、教育の最終目的が記されている。

講師の吉沢さんが、メモにそう書いてくれている。
私が、何か言いだす前に、彼女はすでに考えて来たプランを口にしている。

今回のプログラムは、私だけではなく恵麻ちゃんにも参加を頼んだ。

恵麻ちゃんのことは、課長から特に指示はなかったけれど、参加すれば、きっといい勉強になるだろうと思ったからだ。