玉突き事故の翌日。


ステーションにはいつになくどんよりとした空気が漂っていた。


神崎はイスの背もたれに寄りかかり、藤代は机に伏せっている。


フェローは書類を書きながら溜め息ばかり。


皆昨日の疲れが残っているようだ。


「だらしない」


そんな中神那だけは通常通りの業務を卒なくこなしていた。


「そんなこと言ったってしょうがないでしょ?神那ちゃん。

あんな動き回ったの久しぶりなんだから。

それに僕結構歳なの、知ってるでしょ?」


実際昨日の出動は普段の倍以上の体力を要した。


流石に私も疲れが溜まっているのは事実。


だからといって業務を怠るようではダメだ。


それこそ本末転倒になる。


「ならヘリ引退する?楽になると思うよ」


「まさか!

冗談言わないでよ、神那ちゃん」


バッと姿勢を正す神崎。


「ていうより昨日いつから純さん来たんです?

俺全然気づかへんかったもん。

テント入ってホンマ驚いたもん」


伏せった状態から目だけを隣の神崎に向ける藤代。


「んー、いつだったかな。

まぁ、ちょうど神那ちゃんしか居なかったからね。

気づかないのも無理はないよ」