「お2人が初めて会ったのっていつなんですか?

やっぱりここに配属されてからですか?」


昼下がりのステーションでクッキーを頬張りながら尋ねるフェロー。


「興味ない」


机に頬杖を付き、パラリと医学書をめくる。


いちいちそんなこと覚えていない。


例え覚えていたとしても君に話す義理はない。


「違うよ。

神那ちゃんのことはここに来る前から知ってる。

って言うのも元々同じ病院に勤めてたからね。

勿論科は違うけど」


私が語らずとも神崎が語る。


いつぞやのソレを見つめながら話している。


「最初はね、変わってるなぁって印象かな。

だって大学病院に居るのに地位には興味ないし上の人に平気で意見するし。

腕が良いのにその腕が死んでたんだよ」


1匹狼で誰にも頼ることなく過ごしていた。


上司にも平気で嚙みつき、目をつけられていた。


当然そんな彼女に与える手術も近づく人間も居ない。


腕は誰よりも優秀だったのに誰もそれを使おうとしなかった。


いや、使えなかった。