むかしむかし、あるところに
まっしろに かがやくお城がありました。

雪みたいにきれいで、
あたたかく光りがあふれた大きなお城。


そのお城にすんでいるのは
たくさんのこどもたち。

ちいさな子はクリーム色のスモックに若草色のズボン。

おおきな子はクリーム色のセーラー服に空色のスカートやズボン。

みんななかよしで
楽しいおしゃべりや明るいえがおで、
まるでひまわりがいっせいに さきほこるよう。
ああ、なんて楽しそう!


でも、

そのすみっこで
かなしそうにうるんだ瞳をしたしょうじょがおりました。

しょうじょがうつむくと、ながい髪がぱさりとしょうじょの顔をかくしてしまいます。


しょうじょは ほかの子のように
軽やかなおしゃべりができません。
ながれるように言葉をつむげません。


"どうしてわたしは、みんなとおなじようにおはなしできないの?"

言葉がのどにつかえてしまうよう。
はなしたいことが、言葉がたくさんあって
どれからはなせばいいかわからなくなってしまうのです。



そんなしょうじょのやすらぎは
だれもこない、塔の中の本の部屋でした。

わくわくする冒険や
しあわせな恋のおはなし。
たくさんの本から、
しょうじょはすてきなおくりものを
たくさん受けとりました。