そして、そのイケメンを紹介をした。

「彼、昔のバイト仲間で、大平誠也(おおひらせいや)っていうの。座りなよ、誠也」

「いいのかよ」

遠慮がちになる。

「僕たちは構いませんよ」

真実はにっこりしながら言う。

「すみません。こいつを送るだけのつもりがおじゃまして」

「大丈夫ですよ」

真実は言った。

改めて、誠也は自己紹介した。


誠也は歌舞伎町の有名ホストクラブ『ラブストーリー』で働いている。

誠也の地元は神奈川で、涼夏とはホテルのレストランで一緒にバイトしていた。

今日は休みでお客さんと遊びに行っていた。

職業柄、誠也は明るく社交的で話がおもしろいから、すぐに打ち解けた。

そして、ホストの仕事のことでいろんなエピソードを話した。

「しかし、ホストなんて大変なんですね」

真実は未知の世界を聞いて驚く。

珠利はある意味アカサギ(結婚など、恋愛に関するやり方で異性から金を騙し取る詐欺師)としか思えなかった。

“よくやるわ”と心の中で思った。

「俺に考えられないな。好きでもない人を恋人気分にさせたりするなんて」

「真実くんはピアニストだよね」

「はい」

「真実くんにピアノがあるように、それがホストなんだよ。そして、それが俺たちの誇りってやつ」

誠也はタバコに火を着けた。


そういいながも、結局意気投合して、この後4人で歌舞伎町のラーメン屋に行くことになった。