「…送ってくれてありがと」



「当たり前」



桜井くんはいつも私のこと家まで送ってくれる。



当たり前のようになってきたけど



感謝しなきゃいけない。



いつも彼の優しさに甘えてちゃだめなんだ。



桜井くんと家の方向は逆。



なのに送ってくれる。



そんなとこもたまらなく好き。



ボーッとしていると



ふいに



チュッーーーーーーーーーーーーーー



その音が静かな住宅街に響く。



「不意打ち」



ニヤッと笑って私の頭を撫でた桜井くんは



「また明日」



そう言って帰っていった。