「ただいまー」

修哉さんが帰ってきた。

「お帰りなさい、修哉さん」

あたしはおたまを片手にキッチンから声をかけた。

1ヶ月近く続いていた残業も無事に終わったらしく、修哉さんは毎日、それも7時過ぎに家へ帰ってくるようになった。

サラリーマンって仕事だけじゃなく、人づきあいも忙しいって言うイメージがあるんだけど…あたしが考えているイメージとは、どうも程遠いようだ。

「おっ、今日はカレーか」

すでに着替えを済ませたのか、セーターにジーンズ姿の修哉さんがキッチンに顔を出した。

「はい、カレーです。

もう少しでできますので待っててください」

あたしは鍋の中を覗き込みながら答えた。