狂気に満ちた部屋の中をぐるりと1周したけど、私が直感が反応するのはやっぱり鎖で縛られた刀しかなかった。




「雨!

こぼしてるって!」



平助の声で我に返る。


服が冷たいと思って見てみると、お茶がかなりこぼれていた。



「雨ちゃん、なんかあったのか?」


神妙な顔で私を見る新八に、少しだけ考えて首を横に振った。


新八はため息をついて、「ならいいけどよ」と言って苦笑した。



服を着替えようと部屋に戻ると、まだ新品の着物が目に付く。



彼女が選んでくれた着物は何となく、まだ着れていない。



少し勿体ない気がするけど、他にはこれしかないので腕を通した。