無事、四月から島の病院勤務になって、
私は慣れない病院勤務に毎日翻弄されていた。
実習と、実際の勤務では全然違っていて、
実習の時だって、そんなに親切に教えてくれる人ばかりではなくて、
それはそれで、必死だったけれど、
実際の勤務となれば、私は実習生ではなくて、
曲がりなりにも、看護師の1人なのだ。

患者から見れば、私はベテランの先輩たちと、
何も変わらない。
業務で忙しい先輩たちに何回も尋ねるわけにもいかないし、
常に、ミスをしないように緊張して、勤務をしていた。

くわえて、夜勤や、準夜勤、日勤と、
その日によってくるくるとシフトが変わるから、
それも慣れなくて、疲れに余計拍車をかけていた。

右も左もわからない中で、
必死に目と耳を最大限に遣って、
気を使って、毎日日々を送っていた。

一年進級した隼大は今年は宮坂先生が担任から外れた、と
残念そうだった上に、担任は若い女性教諭ということで、
本人的にはイマイチ、ピンと来てないようだった。

そして授業が始まると、この女性教諭は、
なんというか、表面上しか見ない人らしくて、
もともとやんちゃで、言動の荒っぽい隼大のことを、
しょっぱなから目を付けてしまったらしい。

私が帰ってくると、
連絡帳などで、細かいことがイチイチ書き込まれている。
そうすると、どうしても、私としては、
亡くなった母親の代わりに、
隼大を叱らないといけなくて、

日々の疲れも手伝って、
どうしても、その口調が厳しくなってしまっていた。