「は「はい。」い・・・・・・」 カラーン



また繰り返されるこの音の連なり。

広い校庭に風が吹き、人数を感じさせない静寂。

音を起こした張本人である私と相手は一緒にため息を吐いた。



「あのさ、二人ってホントに付き合ってんの?」



呆れたような声が私の後ろに掛かる。

トレードマークの二つ結びにショッキングピンクのボンボンをつけている、声の主。

私はおそるおそるそれを振り返った。



「望果・・・。」

「なんでそんな面白いほど気があわないわけ?」



私が聞きたいわよ。

その言葉を飲み込んで、私はガクリとしゃがみ込んだ。

すると見かねてくれたのか、望果が校庭に散らばるクラスメートに向かって叫ぶ。



「今日のリレー練習は終わり!

これから男子は騎馬戦、女子は借り物競走の練習でもしててーっ!!」



いや、アバウトすぎるでしょ。

私のツッコミはクラスメートも同様らしくて。



「って宮崎、俺たちはちまき持ってきてねぇよ!!」

「適当に喧嘩してれば腕力付くわよぉ。」

「意味わかんねーっ!!!」


「望果ーっ、私たちだって何借りればいいかわかんないんだけどー。」

「適当適当ー。校長でも動物でも鉄棒でも適当にやっちゃってー。」

「最後無理ーっ!!」



なんて会話がなされていた。

言っておくけど、望果の言う「適当」は広辞苑で言う「ほどよくあてはまること」じゃないからね。

「いいかげんであること」の方だからね。