これは夢だ。


あたしはそう思った。

夢に違いない。



あたしが目覚めた時、事は早急に進んでいた。


目覚めるとすぐに、アゲートさんが寝室に入ってきて、早々と告げ始めた。


政治についていろいろ学ばねばなりませぬ!


とか。


安心して下さい、優秀な臣下はたくさんおりますぞ!


…とか。


そもそも、一番あたしに打撃を与えたのは最初の一言で、


「ルチル様は明日、正式な国王になられますぞ!!」


…というものであった。


その瞬間、あたしはピシッと石のように固まってしまい、その後アゲートさんが顔をほころばせ、嬉しそうに話す政治云々は、ほとんど右耳から左耳へ流れていった。


アゲートさんは最後に、「素敵な国王様になられますよう!!」と一礼して、さわやかに去って行った。



アゲートさんが去って行った扉を、口を半開きにしてじっと見ていたあたしに、側にいたライトは、あたしが気絶した後の事をかいつまんで話してくれた。



「夢なら覚めて―――!!」



苦笑しているライトを横目に、あたしはこんがらがった頭をどうしようも出来ずに、大声で叫ぶ。


その叫び声は、すぐにうめき声に変わった。