【隼斗side】
体育祭が終わって一週間ほどが過ぎた休日。
俺は突然訪ねてきた雪乃と一緒に部屋で過ごしていた。
だけど、俺は愛咲のことを考えていた。
『好き…かも。隼斗のことが…』
その言葉を愛咲の口から聞いたとき、
正直、すっげー嬉しかった。
だけど、約束の期限はもうそこまで来ていて何もかもが遅すぎたんだ。
俺たちは最初から結ばれない運命なんだ。
どんなに俺が愛咲を好きでも
たとえ、愛咲が俺を好きになってくれたとしても
俺が生まれる前から決まっていた政略結婚。
その相手は……
「ねぇ、隼斗くん。
隼斗くんはどんな小説が好き?」
俺の部屋で小さく座って
本を読んでいるコイツ。
笹原 雪乃。
俺の幼なじみであり、許嫁。
母さんと父さんの友達の娘で、子供が産まれたら結婚させようと言っていたらしい。