昨日のことをさっちゃんに謝るために椅子に座って、ただ待つしかないふきのとうの芽のごとく、彼女が来るのをひたすら待った。



親友が教室に現れたのは、08時20分。

あの手紙の通り。

もう、だいたい予想は出来てたけどさ。

教室に入ってきた彼女はチラリとこちらに視線を向けると、すぐに歩み寄ってきて、ガバッと頭を下げる。


「アイ。昨日はその、ごめんね。私、頭に血がのぼるとスグに駄目な奴になっちゃうね......。アイが手紙のことを不安がっているのに、親身になってあげれてなかった。それに、タケのこと...…」

どうやらさっちゃんも昨日、部室で言い合ったことを反省しているようだ。

私も彼女に頭を下げて、謝罪する。

「こっちこそ、ごめんね。さっちゃんの気持ち、気づいてあげれなくて。さっちゃんの前で無神経な行動取ってたと思います」

しばらくの沈黙の後、2人は同時に顔を上げた。

そして1秒のズレもなく、プハッと吹き出す。

「あー、やめだやめだ! アイとこんな余所余所しくなるなんて、何か嫌だ。耐えられない」

「私も。さっちゃんの眉毛が下がったままだと、コッチまで調子狂うよ」


あっさりと仲直りした2人の側を、登校してきたクラスメイト達がさほど興味無さそうに通り過ぎてゆく。