龍の口癖は、『お前を変えてやる』

そんなこと言われたのは初めてだった。


お前を変えてやる・・・と言う龍の目は、『俺も変わる』と言っているようだった。



私は、今まで、たくさんの人を裏切って傷つけて、

自分自身も傷つけてきた。


人を信じることもできず、裏切られるくらいなら誰も信じないように、と心に決めていた。


でも、人を信じないって事は、とても悲しいことなんだ。

生きてる意味がないくらいに、悲しいこと。



お父さんがいなくなってから、

私は殻に閉じこもったままだったんだ。



お父さん、ごめんね。


好きでもない男の人に抱かれて、

男を道具のようにしか見ることができなかった。



少しだけお父さんの匂いのした新垣を好きになって、私はまだ人を愛せるんだってわかったんだ。


だけど、その恋は叶わない恋。


私は、新垣を好きだと思い込んで、夢中になることで生きる希望を見つけ出そうとしていた。


新垣の嫌がることをしたり、家まで行ったり、おかしい行動ばかりしてた。



ごめんね。


お父さんは、依子がこんな嫌な子になってるなんて思っていないよね。



素直でかわいい依子のままだと思っていてほしい。



いつか、もし

お父さんに会うことができたら

その時は、昔の依子のように素直になっているはずだから・・・


龍が・・・

私を変えてくれるから。