私のして来たことは消えない。
馬鹿なことをした自分も、考えなしだった自分も、それは自分だから。

それでも――。

私じゃ河野に不釣合いだなんていう言い訳はもうしない。
もう逃げない。

例えこれからすることが傷付く結果になったとしても、河野になら傷付けられてもいい。

自分の過ちは自分で取り返しに行く――。


河野の家へと近付くほどに私の想いは確かなものになる。
冷たい空気に差し込む温かい日差しも、今にも芽吹きそうな木々も、全力疾走する私に力をくれる。

どうしても河野にこの想いを伝えたい。
傍にいさせてと、ぶつかって行きたい。


駅を降りて河野の家へと向かう途中、卒業したばかりの学校を通る。

あの薄暗い教室で、河野に想いを告げた日。
あの日の私をなかったことには出来ない。

河野に恋をした私の素直な心は、間違いなく本物だった。