【平助】






小さな背中を見送った





昼過ぎに伝わった知らせ





家人に追われた彩華が





崖で足を滑らせ







川に流された…








一と俺は、道場から木の下へ


全力疾走した






〝嘘だ〟  〝嘘だ〟




〝彩華は生きてる!〟






何度も自分に言い聞かせた








一とせーので、袋に手を当てた



「ある」


「あるな…」




ドキドキしながら、袋から出した玉は



今朝、見たまま




「綺麗だ」


「うむ」





彩華は、生きてる







「一は、心配しすぎだ!!!」


「なに?平助だって!真っ青だった!」







気がつけば




泣いてるんだか、笑ってるんだか




お互い想うことは、彩華のことばかりだ