ケータイ小説 野いちご

【SS】キスしてこいよ、ハニー?

【0】悪魔




和藤 八重、現在非常に困っています……。


その理由は、七瀬先輩が何やらあからさまに怒っているからです。



「怒る?」


「そ、そうじゃないですか……っ、顔が、ずっと怒ってるじゃないですか……」


「気に入らないだけだ。んなことも、わからない?」



偉そうな言葉とは不釣り合いな優美な笑みがわたしへと迫る。



「……わかりません、そんなこと」



わたしが困ることなんてお見通しのクセに、わかっていてけしかけるからタチが悪い。



それなのに……。
 




「お前のこと、独り占めしたいって言ったら?」


「……っ、」



夏休みの昼下がり。



甘い言葉を簡単に吐いて、意図も容易くわたしを混乱させるのは、きっと悪魔の得意分野だと思う。



細く、長い指が、わたしに触れる。



なぜ、こんなことになってしまったか後悔しても後の祭り……。

 

ーーーそれは、一時間前に遡る。




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