ケータイ小説 野いちご

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不透明ヒーロー

痛んだ恋心





帰り道はかなり気まずかったけれど、なんとか涙を堪えて家まで着いた。


部屋に入った瞬間、張り詰めていた糸が切れたようにその場に座り込む。言葉にならない声を上げながら涙を流し続ける。



私の恋は実らなかった。

大好きでずっと傍にいた大事な幼馴染。


隠し続けようなんて思っていたくせに決意なんて簡単に崩れてしまった。

私の想いは千尋にあんな顔をさせてしまった。きっと困らせて、悩ませてしまっている。


『俺、文香のこと恋愛対象として見れない』


知っていたはずなのに、言葉にされると胸がズキズキと痛んで涙がこみ上げてくる。


想像よりも、突きつけられた現実のほうがずっと痛い。



好き。

千尋がずっと好きだった。


小学生の頃から、ずっと片想いをしていて振り向いてほしくて頑張っていたときもあった。


クラスの女の子から

『どうして千尋くんと文香ちゃんはいつも一緒にいるの?』

と聞かれたとき、私は千尋が好きで一緒にいたからドキドキしていたけれど、千尋はいつもどおりの笑顔で『文香は家族だからだよ』と答えていた。







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