………

……




その後、レンタカーの手続きを終えたフジヤマがコンビニへとやって来た。

正確には、車を運転してやって来た、だ。



「お待たせー。 あっ、飲み物買ってくれたの? てか、俺の好きなスポーツドリンク覚えてたんだ?」

「うん、この青いラベルのスポーツドリンクが好きって豪語してたからねっ。 あ、お茶もあるよっ」

「おぉー、サンキュー」



車から降りてきたフジヤマは、私を見て楽しそうに笑った。

その笑顔は、普段と全然変わらないように見える。

……でも、変わらないように見せてるだけ…かも?



「んじゃ、行きますかー」

「安全運転でね?」

「任せとけっ」



ニシシッと笑ったあと、フジヤマは運転席へと乗り込んだ。

そして私は、助手席へ。



「いいね、かなりデートっぽいじゃん」

「え、そう?」

「迷わず助手席に来るあたり、彼氏彼女な感じだろー?」


「んー……よくわかんない。 私、基本助手席に座りたい人だから」



お父さんが運転する車に乗る時は、いつも助手席だ。

ていうか多分、後ろの席に座ったら酔う。



「なんかさ、後ろの席だと視界が狭まるでしょ? だから結構酔っちゃうんだよね。 バスとかだったらなんとか我慢するけど」

「なるほど、納得っ。 まぁでも助手席に来てくれてよかったよ。 後ろの席に座られたら、ビミョーに喋りづらいしなっ」



フジヤマはそう言って笑ったあと、スポーツドリンクを一口飲んだ。