———世界が止まったんじゃないかと思った。


 自分が息をする音を聞いて、ここにいるんだとわかったくらいに。


 差し出されたその絵に、俺は声を発することもできなかったんだ。ただ、ただ、その絵から目をそらすことが出来なくて。

目を奪われるようなその色は、俺の心臓を心臓をぐちゃりと握りつぶすように捉えて離さなかった。


———ああ、きみを。
今すぐにきみを、抱きしめたい。


胸の奥で高鳴るこの音を。
溢れ出るこの感情を。
俺を捉えたこの色を。
そして、俺を救ってくれたきみを。

まるごとすべて抱きしめて、きみがいるこの世界を愛していけたらどんなにいいだろうと思った。

泣いたように笑うその姿を見て、目を惹く色たちに囲まれるきみを知って、まるで世界がきみに恋をしているみたいだと、本気でそう思ったんだ。