あの後一通り希和と泣いた後、わたしは家に帰って、昨日は再び家でゴロゴロして過ごしていた。

水樹くんのスマートフォンは結局充電出来ず、【充電してください】の文字は消えないまま。

今日、奥村水樹とのお出掛けの日を迎えた。




【着いたよ】

「うわ、奥村早いっ…!」



わたしは届いたラインのメッセージに悲鳴を上げた。

わたしとしたことが、少し寝坊をしてしまった。

遅れると連絡すると、奥村はその辺ぶらぶらしているから着いたら教えてと言ってくれて、改めて奥村の優しさに感動する。

急いで身支度をし、待ち合わせ場所である駅前に向かった。



『ピーッピーッ』

【充電してください】

「あーもう!しつこいなぁ。
君は充電出来ないのー!」



スマートフォンに向かって文句を言いながら、駅への最短距離を急ぐ。

本当は置いて行こうと思ったんだけど、この充電がないことを知らせる音が結構大音量で。

仕事が休みのお母さんに文句を言われてしまったので、持ってくることにした。

布団の中だの机の中だのに埋めておくべきだったと後々気付いたわたしは、アホだ。



走った甲斐があったのか、待ち合わせ時間の10時から10分過ぎた時間に、交差点に到着した。

交差点を渡れば、駅はすぐそこ。



「よ!」

「お、奥村!」



多くの人と信号待ちをしているわたしの隣に、青を基調とした大人っぽい服に身を包んだ奥村が現れる。



「ごめんね遅れちゃって!」

「いやいや、気にしないで」

「ビルって、この信号渡ってすぐだよね」

「ああ、そうだよ」



赤信号を見る奥村。

優しいしイケメンだし一途だから、他の人の注目を浴びている。