高校に入学した。

周りは、大人びた子たちばかりで

私は馴染めずにいた。

高校に入ってからアルバイトも始めていたので

バイトの方が楽しくなってしまって、

学校を中退した。

とある競技場の売店のバイトは、

大学生や成人した人に囲まれ可愛がってもらった。

中学からの友達も誘って、わいわいするのが楽しかった。

みんな家庭の事情を抱える子たちばかりで

夜遊びも覚えた。

お酒を飲んだりタバコを吸ったり、可愛いもんだった。

そんな中、同じ会社が経営するレストランでバイトをしていたある日

山口さんという私の父より少し若いお店を任されている女性に

昔の苦しいことを話す機会があった。

山口さんは私の話に親身に耳を傾けてくれ

泣いてくれた。

そんな大人の人は初めてだった。

子供ながらにわかってくれる人がいる、

とても嬉しい気持ちになった。

バイトにも慣れてきた秋頃、山口さんは病気で入院してしまった。

とてもショックで、落ち込む日々が続いた。

お見舞いにも行きたかった。

でも山口さんはそれを拒んだ。

今思うと会える状況じゃなかったのかもしれない。

冬が始まる頃その日は突然にやってきた。

山口さんが亡くなってしまったのだ。

私は悲しくて悲しくて涙が止まらず嗚咽を漏らし、友人に支えられるように、
お通夜に参列した。

そこで初めて山口さんの娘さんに会った。

「母のために沢山泣いてくれてありがとう」

そう、娘さんは私に声をかけてくれた。

「こちらこそありがとうございます、沢山助けてもらいました」

山口さんに伝えたかったことを娘さんに伝えた。

私はその日から心にぽっかり穴が空いたような日々を過ごしていった。