ケータイ小説 野いちご

江戸のうどん屋で働き始めました

鈴城神社と婚約の理由

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「それで結局、天ぷら屋を出て親の小料理屋に戻ったのか」



久松さんの件からしばらく経った日、私は雅春さんに連れ出され、並んで歩いていた。


最近雅春さんは、何故か私のことをよくこのように連れ出す。

行き先は、以前行った甘味処だったり、雑貨屋のような店だったりと様々だ。


この辺りに住んでいながら、全く土地勘のない私への気遣いなのかもしれない。

店の忙しい時間帯は避けているので、お菊さんも快く送り出してくれる。


私にとっても、雅春さんと雑談をしながらこうやって歩く時間はなかなか楽しい。




「はい。店主さんも事情を話したら分かってくれたそうです」




今日の話題は、久松さんのこと。


2日ほど前、久松さんは実家の小料理屋に戻ったという報告をしに来た。


その上、私にとってもう一つ嬉しいことがあった。



「しかもですね、久松さん、徳々麺で出す天ぷらうどん用にって、小料理屋で余分に作った天ぷら、持ってきてくれることになったんです!」




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