ケータイ小説 野いちご

江戸のうどん屋で働き始めました

天ぷら屋さんに行きました

***


良い香りをさせながら湯気を立てる、きつね色の衣をまとった天ぷらが、私の目の前に運ばれて来た。


店の休業日、太一くんは約束通り、福花天に連れてきてくれた。

福花天は、ものすごく目立つ大きな店で、たくさんのお客さんで賑わっている。



「っー‼美味しそう~!」


「これは間違いなく美味いだろ!」



天ぷらを前にしてテンションが上がる私に、珍しくこちらも興奮気味の太一くんが答える。


天ぷらの内容は、海老とイカ、それからレンコンやカボチャをはじめとする野菜。

シンプルにお塩で頂くそうだ。



「いただきます!」



私は、控え目に塩をかけて、海老の天ぷらをかじる。


サクリ、という心地良い音がしたかと思うと、海老のジューシーな味が口いっぱいに広がる。

今まで食べた海老の天ぷらは、詐欺じゃないかというレベルで衣が分厚いのもあったけど、これは違う。


海老の身がとても大きく、かといって衣が薄すぎる訳でもない。

とにかく、バランスが丁度良い。



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