ケータイ小説 野いちご

江戸のうどん屋で働き始めました

閑古鳥の鳴くうどん屋さんに居候することになりました

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走ったのと、自分の置かれた状況がうまく受け入れられないのとで、私は荒い息をしながらしゃがみこんだ。


…だって、こんなことあり得るの?


着物の人々が行き交う中、学校の制服を着ている私だけが浮いているのは明らかだ。


夢かな、とも考えたけど、頬をつねっても髪の毛を引っ張っても、痛みを感じるだけで目が覚めることはなかった。



…私、本当に本当にタイムスリップしちゃったの?



もちろん、答えてくれる人なんていやしない。



だから代わりに私は懸命にここに至るまでの状況を整理してみる。


猫のクロちゃんを追いかけてたどり着いた、鈴城神社の境内にあった建物。

あの暗い隙間に手を入れた瞬間、不思議な感覚に襲われた。

で、目を開くとこの場所にいたのだ。


もし、これが本当にタイムスリップなら、原因は間違いなくあの暗い隙間だろう。




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