突然ですが
わたし、柊蘭モカ(とうらんもか)は高校1年という青春の真っ只中でございます。...

…前言撤回。
わたし、柊蘭モカは高校1年という青春の真っ只中のハズなのに!!
青春してるはずなのに!!

「青春していないのですッッッ!!!!!!


「あーはじまったよモカの青春癖~

私の言葉に動じることなく目の前でスマホをいじっているのは私の友達の「抹柳 心(まつや こころ)ちゃん」。
とってもクールで乙女ゲームに登場してそうなくらいかっこいいんです~♡

「せ、青春癖ってぇ…

私が思わずへこたれると、心ちゃんは表情1つ,かえることなく私の顔にスマホを近づける。

「モカのお父さんが経営する柊蘭会社がまた大幅に売り上げたーってニュースにもでてるのよ?

そう。私のお父さんはとっても柊蘭という会社を経営するとっても偉い人なのです…

「金持ち。お嬢様。可愛い。なんでもできる。
そんな才色兼備のモカが青春できないわけないっしょ。
またコクられたんだって?付き合っちゃえば青春できんのに。

心ちゃんの視線がささるぅ…

「こっ、心ちゃんも分かってないんだから!
私が目指している青春ってのは〜

私は自分のカバンから一冊の本を取り出す。

「こーゆー青春を目指してるの!!

ドーン。心ちゃんの目の前に置いた本からは華やかなオーラを感じる。

「男女がともに協力しあい目指す夕日...
はぁ...これぞ青春なのです...

私が思わずうっとりとしていると、心ちゃんはいつだしたのか分からないポッキーを頬張りながら

「それよりここの男子達が付き合えばいいと思うわ。
ハッ...洋服の色が青と紫...!?
どっちが右かしら迷うわ...

と完全に自分のワールドに入り込んでいる。
最近気づいたことなんだけど、心ちゃんはアニメの熱狂的ファン...
いわゆるO★TA★KU★ってやつみたい。
そして...男の子通しの恋愛が好きみたい。
ここは触れないでおこうかな...

「もうっ!この人達は男の子通しでしょっ!?

私が慌てて本を奪いカバンにしまうと、心ちゃんは「そうだよ?」と平然に答える。