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スクエア・ラブ

1年 4月・5月・6月
1節 同じクラスになれて


78年4月11日火曜日。

天候は生憎の曇り空。

それでも、ここ、私立桜月学園高等部では、どんよりとした曇り空などお構いなしに、生徒たちが賑わっている。

1年C組もまた、例外ではなく、楽し気な声が聞こえてくる。

「やった! やった! キセキ! キセキ!」

少女――豊浦美雪が両手を合わせ、飛び跳ねながら言う。

「わかったわっかた。少しは落ち着こう。恥ずかしい」

また別の少女――比嘉礼子が窘める。

「だって凄いじゃん! 3人一緒に同じクラス! しかも席が前後で並ぶなんて! ね!」

「うん。凄いね」

話を振られた少年――早川冬行は、美雪に同意を示し笑いかける。

「あんたは、美雪にあまい」

「そんなことないよ。同じクラスになれて俺も嬉しいもん」

礼子に窘められても、冬行は笑みを絶やさない。

「あんたは…」

礼子の、呆れとも諦めとも取れるため息。

けれど、その後、寂し気に冬行を見つめる礼子の視線には、誰も気づかない。

「君たち」

唐突に声をかけてきた少年――寺島隆。

「仲良さそうだけど、内進組? 見たことない顔だけど」

「内進?」

答えたのは、礼子。

けれど、隆の言った「内進」という言葉の意味が理解できず、疑問で返す形になった。

「あ、ごめん。意味がわからないなら外進組だね」

隆が言う。

「桜月中学から進学してきた人を内部進学、つまり内進って言ってるんだ。それとは逆に高校から桜月に入ってきた人が外進」

「ふーん」

「あんまり仲良さそうだからさ、内進組かと思った。外進の人って初日は大抵大人しいから」

隆に言われ、教室内を見回す礼子。

確かに、数人で集まって親し気に話してるグループと、そうではなく、個人でただ席に座っているだけの人とがいる。

「委員長、何してんの? ナンパ?」

少年――山本秋人が話しかける。

「やめてくれるか? そういうの」

心底嫌そうに、けれどどこか親しさを滲ませて、隆は返す。

「えー? だって委員長がカワイイ外進の子と話してるから」

「君と一緒にしないでくれ」

「何それヒドイ。酷くない?」

「え…」

秋人は、礼子に助けを求めるが、礼子からの同意は得られない。

「アキ、彼女が困ってる」

礼子と秋人との間に、割って入るように遮る隆。

「ごめんね、コイツ悪いヤツじゃないんだけど」

「その言い方もヒドイ。なんか僕が馴れ馴れしいヤツみたいじゃないか」

「馴れ馴れしいだろ、実際」

「そんなことないもん。ねえ?」

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