ねぇ司、私達いつからすれ違ったんだろうね。


司、あなたの気持ちはどこですか?


今、何を考えてるの?


入院中、毎日のように返事のない司に問いかけた。



退院の日、司が迎えに来た。


1週間ぶりに見た司の顔は、昔の優しかった頃の司と何も変わっていない。

変わってしまったのは私達の距離。



司と一緒に、産まれたばかりの赤ちゃんを抱き車で家に帰る。




「名前とかどうする?」



ペットにでもつける名前かのように言われる事が悲しくなる。



「司は考えてくれてた?」



そんな訳ないと思いながらも聞いてみる。



「昨日、母さんから電話きてさ、優しいって字でユウはどうか?って。
画数とかもいいらしいし。」



「そう。
司がいいと思うならいいんじゃない。」


私は溜め息混じりに返事をかえす。



夫婦で産まれてくる子にドキドキしながら、頭を悩ませ名前を考えるような事もなく、娘の名前は『優』と名付けられた。