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「全然来ないじゃん」


もうすぐ肝試しが始まるって言うのに、時計をチラチラと確認しては、まだ来ていない頼くんに不安を覚える。


電話した時はもう外にいるっぽかったのに……。気のせいだったのかな?


「はぁ……」

頼くんとの電話を切った後、急いで学校まで向かった私は、係でもないって言うのになぜか流しそうめんの準備を手伝わされて、

やっと始まった流しそうめんを『流しそうめんの気分じゃないんだよな』なんて言いながらめっちゃ食ってる美和子ちゃんの隣で食した。

その間にも、何度も頼くんのことを探したけれど1度も頼くんの姿は見ていないし、連絡すらない。


「よーし!じゃあ肝試し始めっぞ〜」

緩〜いクラス委員の声で、流しそうめんで膨らんだお腹を抑えながら、みんなが生徒玄関前に集合し始める。


あー、どうしよう。


頼くんに電話してみようかな?と、スマホへと手を伸ばした私に



「あれ?そう言えば、今日涼から来れないって連絡あったけど……、涼って誰とペアだっけ?」


再び緩っと響いたクラス委員の声に、なぜか自分の肩がビクッと震えたのが分かった。